想像力を養う

音楽を表現するのに「イメージすること」はつきものです。

それはピアノを練習するだけでは身につきません。自分が経験した「五感」を音にするための想像力が必要なのですが、その幅を広げるには「人生経験」が何より大切です。だから「音楽の学びに終わりはない」と言われています。

では人生経験が限られている子供たちに、想像力を養わせるにはどうしたら良いでしょうか。友達と遊んだり、色々な場所に行けば経験にはなりますが、子供の時こそ色々な作品に触れ、技術をつけることが必要になるので=練習、そうばかりもしていられない。でも、家にこもって練習ばかりしていると、イメージの源のない人間になってしまう。


私は小さい頃から推理小説が好きで、シャーロック・ホームズやアガサ・クリスティは全部読みました。高校生の頃には、ゲーテ、ハイネ、ロシア文学、その他横文字の作家は手当たり次第に読み、そこから当時のヨーロッパの生活感や価値観を感じていたと思います。中世を描いた作品や、ヨーロッパの映画もレンタルして見たりしていました。

私は幼少期に友達と遊んだ経験はなく、沖縄育ちなので旅行経験が多いとは言えません。

ただヨーロッパに憧れがあって、生活を知りたいと思って、本や映画に触れたことは、何か曲の雰囲気をイメージする時に役立ったと思っています。

自分の表現力に限界を感じたり行き詰まったら、そうでなくても時間があれば、ヨーロッパの文学や映画に触れてみてください。頭の中にたくさんのイメージデータを蓄積させておくことは、その時に役立たなくても、必ず使う日が来ます。